美容外科医必見!説明義務違反が招く訴訟リスクとその対策~首のたるみ除去手術における説明義務違反の事例~

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美容外科医にとって、患者との信頼関係は最も重要な要素の一つです。しかし、その信頼を築く上で欠かせないのが、患者に対する適切な説明義務です。美容手術は多くの場合、患者の期待や不安が絡むデリケートな分野であり、手術に伴うリスクや他の選択肢について十分に説明しなければ、後に大きな問題に発展する可能性があります。

本記事では、実際に発生した首のたるみ除去手術における説明義務違反に基づく訴訟事例を紹介し、その背景と裁判所の判断を詳述します。また、美容外科医としてどのようにして説明義務を果たし、患者との信頼関係を強化しつつ訴訟リスクを低減させるかについての具体的な対策を提案します。患者の満足度を高めるだけでなく、リスク管理の観点からも重要なポイントを押さえた内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。

裁判の概要

  • 平成28(ワ)405  損害賠償請求事件
  • 平成29年9月28日  仙台地方裁判所
  • 判決文はコチラで読めます

この事件は、美容外科クリニックで首のたるみ除去手術を受けた患者(原告)が、手術後に首に目立つ手術痕が残ったことから、クリニックと担当医師に対して損害賠償を求めたものです。原告は、手術前に医師から手術のリスクや手術痕について十分な説明がなかったこと、他に選択可能な手術方法についての説明がなされなかったことを問題視し、訴訟を提起しました。

訴訟の経緯

原告は、被告である美容外科クリニック及び担当医師に対して、診療契約上の債務不履行や不法行為責任に基づき、合計1100万円の損害賠償を求めて訴訟を提起しました。裁判では、医師の手術の説明義務違反や手術方法の選択に関する過失が主要な争点となりました。

判決文の結論

裁判所は、医師が手術痕の大きさや外観、残存する期間について十分な説明を行わず、また他の選択肢となる術式についても説明しなかったことを理由に、説明義務違反があったと認めました。その結果、被告らに対し、原告に対して110万円の損害賠償を支払うよう命じましたが、原告のその他の請求については棄却されました​

手術の内容

この手術では、顎下から首にかけてのたるみを除去するため、皮膚を切除して縫合する方法が取られました。しかし、この手術により、患者の首に目立つ手術痕が残り、患者はこれが美容的に受け入れがたいものであると訴えました。特に、手術痕が「人」の字形に似た線条として顕著に残ったことが問題視されました。

原告の主張

原告は、手術前に医師が手術痕の位置や大きさ、形状について具体的に説明しなかったこと、また他に選択可能な手術方法についても説明がなされなかったことを主張しました。原告は、これらの説明が不十分であったために、自分が適切な判断をする機会を奪われたと感じ、これが手術後のトラブルを招いたと考えています。

説明義務違反の詳細

美容外科手術において、医師が患者に対して負うべき説明義務は非常に重要です。特に美容手術は、その結果が患者の外見や自己評価に大きな影響を与えるため、医師は手術内容やリスクについて十分に説明する必要があります。本事例では、この説明義務が果たされなかったことが問題となりました。

説明義務とは

説明義務とは、医師が患者に対して手術の内容、手術に伴うリスク、他に選択可能な治療方法、その利点と欠点などを十分に説明し、患者が十分な情報を基に手術を受けるか否かを判断できるようにする義務のことです。特に、美容外科手術においては、患者の美容目的を達成するために、手術痕の大きさや形状、外観がどのようになるかについての説明が重要です。

本事例における説明義務違反

この事件では、医師が患者に対して手術痕の位置や大きさ、形状、外観、さらには手術痕がどのくらいの期間残るかについて十分な説明をしなかったことが説明義務違反とされました。また、他に選択可能な手術方法(耳介部周辺を切開する術式)についても説明がなされなかったため、患者は自分が受ける手術の全体像やリスクを十分に理解することができませんでした。

裁判所の判断

裁判所は、医師が患者に対して十分な説明を行わなかったことを認定しました。手術痕が美容目的に反するものであったこと、患者が他の手術方法について知らされていれば異なる選択をした可能性があったことを理由に、説明義務違反があったと判断されました。これにより、医師は損害賠償責任を負うこととなりました。

裁判所の判断と結論

この事件において、裁判所は医師の説明義務違反を認定し、原告に対して損害賠償が認められる結果となりました。以下に、裁判所の判断と最終的な結論について詳述します。

説明義務違反の認定

裁判所は、医師が手術前に患者に対して手術痕の位置や大きさ、形状、外観、さらにその残存期間について具体的な説明を行わなかった点を重視しました。また、他の選択肢として提示されるべきだった耳介部周辺を切開する術式についても説明がなされなかったことが問題視されました。これらの説明が不十分であったため、患者は自分が受ける手術の内容やリスクを十分に理解できなかったと判断されました。

結果としての損害賠償

裁判所は、医師の説明義務違反と患者に残された手術痕との間に因果関係があると認め、原告に対して110万円の損害賠償を命じました。裁判所は、手術痕が患者の美容的な期待を裏切るものであったこと、手術前に他の選択肢について十分な説明が行われなかったことを重く見て、この結論に至りました。

本件の示す教訓

この判決は、美容外科医に対して、患者に十分な情報を提供し、説明義務を果たすことの重要性を再認識させるものでした。特に、美容手術においては、手術痕や結果に関する具体的な説明を欠かさないことが、患者との信頼関係を築き、訴訟リスクを回避するために不可欠であることを示しています。

美容外科医が取るべき対策

美容外科医にとって、説明義務違反が招く訴訟リスクを避けるためには、適切な対策を講じることが不可欠です。本事例から学ぶべきポイントを踏まえ、具体的な対策を以下に示します。

リスク管理の重要性

美容外科手術は患者の外見に大きな影響を与えるため、手術前の説明が非常に重要です。リスク管理の一環として、手術の具体的な内容、予想されるリスク、手術痕の位置や形状について、患者が十分に理解できるまで説明を行うことが求められます。また、患者にとって重要な選択肢や代替手術法がある場合には、それらについても具体的に説明し、患者が情報に基づいた判断を行えるようにすることが重要です。

適切な説明の実施

手術前のカウンセリングでは、患者が疑問を持たないように、手術の過程や予想される結果について具体的に説明することが大切です。手術痕が残る場合は、その位置や大きさ、形状、さらには治癒後の外観や残存期間についても詳細に説明し、患者がリスクを十分に理解した上で手術を受けるようにします。説明を行った内容は記録として残し、患者に書面で確認させることも、後のトラブル防止に役立ちます。

他の選択肢の提示

患者に対しては、複数の手術方法や治療選択肢がある場合、それぞれの方法の利点と欠点を明確に説明し、患者が最も納得のいく選択をできるようサポートすることが求められます。例えば、手術痕が目立たない術式がある場合は、それについても詳しく説明し、患者に選択肢を提供することが重要です。

信頼関係の構築

最後に、患者との信頼関係を築くことが、訴訟リスクの低減に繋がります。誠実に対応し、患者が安心して手術を受けられるよう配慮することで、信頼関係が強化され、訴訟リスクを大幅に減らすことができます。医師自身もリスク管理の意識を高め、常に患者に対して誠実で透明な対応を心がけることが大切です。


これらの対策を実施することで、美容外科医は訴訟リスクを軽減し、患者との良好な関係を保つことができるでしょう。

まとめと結論

今回の事例を通じて、美容外科医が患者に対して説明義務を果たすことの重要性が改めて浮き彫りになりました。美容手術は患者の期待が高く、結果に対する満足度がそのまま医師への信頼度に直結するため、手術前の十分な説明が不可欠です。

説明義務違反が招くリスク

説明義務を怠った結果、患者が手術のリスクや結果について十分に理解していない場合、手術後にトラブルが発生し、最悪の場合、訴訟に発展するリスクが高まります。本事例では、説明不足が原因で訴訟に至り、医師に損害賠償が命じられました。このようなリスクを避けるためには、患者に対して手術の全貌を正確に伝えることが不可欠です。

今後の指針

美容外科医としては、患者に対して手術のリスクや選択肢を丁寧に説明し、十分な情報提供を行うことで、患者が納得した上で手術を受けるよう努めることが必要です。また、説明を記録に残し、患者の同意を確認することで、トラブルの未然防止に繋がります。

説明義務を徹底することで、患者との信頼関係を強化し、訴訟リスクを低減させることができるでしょう。美容外科医としての責任を果たしながら、患者の満足度を高めるためにも、日々の診療において説明義務の重要性を再認識することが求められます。

この記事を通じて、説明義務の重要性を理解し、具体的な対策を講じることで、医療現場におけるリスクを最小限に抑え、患者との良好な関係を維持する一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

NRSK JAPANのアバター NRSK JAPAN ビューティメドラボ代表

美容医療業界において、経営、マーケティング、店舗開発、運営などあらゆる分野で豊富な経験を持つエキスパート。いつか誰かの役に立つ人になりたくて「ビューティメドラボ」を開設。加速する老化に逆らいながら、化粧品検定3級の資格を活かしてこれまでに培ってきた知見を書き残しています。
令和3年12月9日:初めての美容クリニック開業まるわかりガイド執筆開始(すぐに頓挫する)
令和6年7月1日:ビューティメドラボ公開
令和6年8月31日:化粧品検定3級合格
防火管理者としての経験も併せ持つマルチな才能を存分に発揮すべく、ビューティメドラボの更新活動を精力的に行っている。