美容医療業界は近年、ますます競争が激化しています。患者獲得のためには、単に高品質な医療を提供するだけでは不十分です。明確な経営理念に基づいた差別化戦略と患者ニーズへの対応が、成功への鍵となります。
経営理念は競争を勝ち抜くための羅針盤
美容クリニックの運営において、経営理念は非常に重要な要素となります。
経営理念は、クリニックの方向性や価値観を明確にし、従業員や患者との信頼関係を築く基盤です。
以下では、成功する美容クリニックの経営理念の重要性と、成功事例を参考にした経営理念の策定方法について解説します。
経営理念とは
経営理念は、美容クリニックにとって羅針盤のような役割を果たします。クリニックの方向性や価値観を明確にし、スタッフ全員が共通の目標に向かって進むための指針となります。また、患者に対しても、クリニックの信頼性や一貫性を伝える重要な役割を果たします。
- 方向性の明確化
- 経営理念はクリニックの方向性を明確にし、従業員が同じ目標に向かって働くための指針となります。これにより、組織全体が一体感を持って業務を遂行できるようになります。
- ブランド価値の向上
- 経営理念がしっかりと定まっているクリニックは、ブランド価値を高めることができます。患者に対して一貫したメッセージを発信することで、信頼性や安心感を提供し、リピーターを増やすことができます。
- 意思決定の基準
- 経営理念は、経営者や従業員が意思決定を行う際の基準となります。理念に基づいた判断をすることで、一貫性のある運営が可能となり、長期的な成功につながります。
明確な経営理念を持つクリニックは、以下のようなメリットを得ることができます。
- スタッフの士気向上
- 共通の目標を持つことで、スタッフの士気向上とチームワーク強化につながります。
- 患者からの信頼獲得
- 一貫した姿勢で医療を提供することで、患者からの信頼を獲得しやすくなります。
- 差別化戦略の構築
- 独自の価値観に基づいた差別化戦略を構築することができます。
- 意思決定の迅速化
- すべての判断を理念に基づいて行うことで、意思決定を迅速化することができます。
理念づくりのタイミング
理念を作り出すタイミングとしては、開業前や組織の拡大時、スタッフの大量離職後などが挙げられます。また、理念作りのプロセスとしては、院長の過去の経験や価値観を振り返り、クリニックの成長ステップを考慮することが重要です。
CIとの違い
CI(コーポレート・アイデンティティ)と経営理念は、企業の方向性や価値観を示す点で共通していますが、それぞれの役割や目的には違いがあります。
| 経営理念 | CI |
|---|---|
| 企業の根本的な価値観や目標を示し、企業活動の指針となる。 | 企業の存在価値やブランドイメージを社内外に伝えるための活動で、視覚的要素や行動指針、理念を含む。 |
経営理念
経営理念は、企業の根本的な価値観や目標を示すもので、企業活動の指針となります。経営者の信念やビジョンを反映し、企業がどのような存在でありたいか、どのような価値を提供するかを明確にします。例えば、パナソニックの「産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せんことを期す」という理念は、社会全体の発展に貢献することを目指しています。
CI(コーポレート・アイデンティティ)
CIは、企業の存在価値やブランドイメージを社内外に伝えるための一連の活動を指します。具体的には、企業のロゴ、スローガン、デザインなどの視覚的要素(ビジュアル・アイデンティティ)、企業の行動指針(ビヘイビア・アイデンティティ)、企業の理念やビジョン(マインド・アイデンティティ)を含みます。CIは、企業のブランド力を高め、社内外のステークホルダーに企業の本質を理解してもらうことを目的としています。
経営理念の策定方法
自院の経営理念を策定する際には、以下のステップを参考にすると良いでしょう。
クリニックの将来的なビジョンを明確にします。どのようなクリニックを目指すのか、どのような価値を提供したいのかを具体的に考えます。例えば、「最新の美容医療技術を駆使し、患者の美と健康を最大限に引き出すクリニック」などです。
クリニックが果たすべき役割や使命を定義します。患者にどのようなサービスを提供するのか、社会にどのような貢献をするのかを考えます。例えば、「安全で効果的な美容医療を提供し、患者の自信と幸福をサポートする」などが考えられます。
経営者や従業員が共有する価値観を明確にします。クリニックの運営において大切にしたい価値や、従業員が日々の業務で意識すべきポイントを設定します。例えば、「患者第一主義」「誠実な対応」「継続的な学習と成長」などです。
経営理念を実現するための具体的な行動指針を策定します。患者対応や施術の方針、従業員の教育方針など、具体的なアクションプランを立てます。例えば、「患者の声を常に聞き、個別に対応する」「最新の医療技術を積極的に導入する」「定期的な研修を通じてスタッフのスキルを向上させる」などです。
経営理念を従業員や患者に浸透させるために、コミュニケーションを強化します。定期的なミーティングや勉強会を通じて、経営理念を共有し、全員が同じ方向を向いて働けるようにします。また、理念を掲示するポスターやパンフレットを作成し、クリニック内外に広くアピールすることも効果的です。
美容クリニックの経営理念は、クリニックがどのような価値観を持ち、どのような医療サービスを提供していくのかを定めたものです。理念は、クリニックの経営活動の指針となるだけでなく、患者様との信頼関係を築き、クリニックの差別化を図るためにも重要です。
最近では、VMVに加えてパーパス(存在意義)も重要視されるようになりました。これはクリニックが社会全体にとってどのような存在意義を持つのかを定義するものです。
以下に、美容クリニックに求められる経営理念のサンプルをいくつか挙げます。
経営理念の参考例
患者様第一主義
- 患者様のニーズを第一に考え、質の高い医療サービスを提供する
- 患者様とのコミュニケーションを大切にし、安心して治療を受けていただける環境を作る
- 患者様のプライバシー保護を徹底する
安全・安心
- 最新の医療機器や技術を導入し、安全な治療を提供する
- 倫理的な医療行為を心掛け、患者様の安全を守る
- 医療従事者の教育・研修に力を入れて、質の高い医療を提供する
技術力・知識
- 美容医療に関する専門知識と技術を磨き、常に最新の医療情報を提供する
- 症例研究や学会参加などを通じて、医療技術の向上に努める
- 患者様一人ひとりに最適な治療プランを提案する
倫理観
- 倫理的な医療行為を心掛け、患者様の利益を第一に考える
- 適正な広告宣伝を行い、誤解を与えるような表現を避ける
- 患者様の人権を尊重し、差別のない医療を提供する
社会貢献
- 美容医療を通じて、患者様のQOL向上に貢献する
- 美容医療に関する知識や情報を提供し、社会全体の美容意識を高める
- 地域医療への貢献活動を行う
理念の例
究極の三方良しを実現する
SBCメディカルグループ
美は健康な身体から
Wクリニック
「美と健康はイコールである」という信条のもと、統合的な美容・アンチエイジング医療を提供する
松倉クリニック
理念の浸透にはクレドの作成も有効です。開業当初に作り上げるよりは、スタッフとこれまでを振り返り、未来を描き直し方向性を定めるタイミングでも良いでしょう。
クレド(行動指針)の作成
クレドとは、ラテン語で「信条」や「信念」を意味する言葉です。企業においては、経営理念をより具体化し、従業員が共有すべき価値観や行動規範を簡潔にまとめたものです。クレドと行動指針には微妙なニュアンスの違いがありますが、あまり難しく考えずに作成すると良いでしょう。
| クレド | 行動指針 |
|---|---|
| 目的 経営理念を具体化し、従業員の価値観を共有すること 内容 簡潔でわかりやすい言葉で表現された、企業の理念や価値観 役割 企業文化や風土を形作る | 目的 従業員に具体的な行動を指示すること 内容 具体的な行動項目 役割 従業員の日常業務における行動を規範化すること |
行動指針はクレドをより具体的な行動レベルに落とし込んだもので、従業員が日常業務においてどのように行動すべきかを明確に示すために策定します。そのため業種や職種によって具体的な内容が異なる場合があります。
クレド(行動指針)の例:湘南美容クリニック
1.チームワーク
個々の長所を伸ばし他者の短所を補い、お客様に「SBCを選んでよかった」と思ってもらえるようにバトンをつないで最高の顧客満足度を目指す。
2.成果主義
安全の確保、治療の結果、業績、顧客満足度、離職率、リピーター率、紹介率など実際の数値をしっかりと把握して成果を出すことに集中する。
3.信頼される人になる
お客様、仲間に嘘をつかない。言い訳しない。約束を守る。信頼たる職業人としての技術・知識・人間力を身につける。
4.挑戦を楽しむ
お客様のためになると思うことには、失敗を恐れず、挑戦を楽しみながら成長し続ける。
5.情熱を持つ
高品質医療を低価格で提供し多くのお客様に喜んで頂く事に情熱の全てを注ぐ。感謝される感動や喜びを情熱というやりがいに変える。
6.素直
分からない事は分からないと言う。悪いと思ったら謝る。教えてもらったら素直に受け入れる。良い情報に触れたら取り入れてみる。上手くいっている人やチームがいたら真似てみる。
7.感謝
来院してくれたお客様(患者様)、一緒に働いてくれる仲間に、感謝を毎日伝える。
8.楽しむ
「どのようにしたらもっとお客様が喜んでくれるか?」を毎日楽しみながら考え実行する。
9.祝う(称賛)
仲間が成果を出した時や記念日にはお祝いをする「世界一お祝いの多い企業」になる。
10.付加価値を与える
頂いた金額以上の価値や感動を感じていただけるようなサービスを提供し続ける。
11.リーダーシップ
責任感の範囲と強さがリーダーシップ力を決める。大きなミッションを持ち、揺るがないモチベーションを身につける。常に明るく、自責の志を持ち、周りに肯定的な影響力を与える人になる。
12.スピード
全ての仕事を最速、最短で終わらせるように努力と工夫をし続ける。
13.改善
全ての業務を細分化し、どうすればもっと良くなるのかを考え改善し続ける。
14.判断力
判断力を身につけるために、多方面からの情報収集、学習を通していち早く成長する発想を持ち、多くの新しい体験にチャレンジする。
15.ゴールからの逆算
常にゴールからの逆算思考で考え、時間の無駄を省く。
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まとめ
美容クリニックの経営理念は、クリニックの方向性や価値観を明確にし、従業員や患者との信頼関係を築くための重要な要素です。経営理念を持つことで、スタッフの士気向上や患者からの信頼獲得、差別化戦略の構築、意思決定の迅速化など、多くのメリットを享受できます。
経営理念の策定には、クリニックのビジョン、ミッション、価値観を明確にし、それに基づいた具体的な行動指針を設定することが重要です。また、経営理念を従業員や患者に浸透させるために、定期的なコミュニケーションを強化することも欠かせません。
成功する美容クリニックは、明確な経営理念を持ち、それに基づいた運営を行うことで、競争の激しい市場で長期的な成功を収めています。あなたのクリニックも、経営理念をしっかりと定め、それに基づいた運営を行うことで、多くの患者に選ばれるクリニックを目指しましょう。
